いい女と高級ワイン
いい女とはバランスの取れた女性のことだと思う。また高級ワインもバランスが取れたワインのことである。高級ワインと安くておいしいワインの違いを説明しよう。高級ワインは色、酸味、甘味、苦味、香りのバランスが絶妙に取れている。バランスが取れすぎていて、普通のワインとしか感じない場合が多いので飲み比べのときなど、安くて美味しいワインに票が集る。味や香りが飛びぬけて秀でてる方が一般的に分かりやすいからである。でもこの一つ飛びぬけて秀でているというのが曲者なのである。というのは、その秀でてるところが大好きというマニアには愛されるが、そこが嫌いという人も必ずいるのである。そして何回も飲むとその秀でてるところに飽きてしまう。そこが鼻についてしまうのである。本当に美味しい高級ワインというのは実にさりげない。秀でているところが鼻につかない、飲みなれていないとわかりにくいのである。
いい女の条件もこれにぴったりと当てはまるのではないだろうか。鼻につかず、これ見よがしではなく、さりげなく会う回数を重ねるごとに良くなる。一見してパッと美しさや良さが分かり易い女性だと飽きも早いような気がする。例えば料理や英語ができることを決して人前で言わない。でもいざというときにさっとさりげなく自然にその能力を発揮できる。外見をブランド品で武装するのではなく、内面にお金とエネルギーをかける。さりげなく肩の力を抜いて、がんばりすぎない。自分がどうすれば喜ぶかを自分でよく知っている。知性というのは知識があることではなく、自分を知っていることだと思う。自分と人との楽しませ方がうまい女。人との距離感のバランスが自然にとれる女。私は料理研究家という仕事を通して、いろいろな人と触れ合っていき、そういう女性になりたいと心から思う。年齢を重ねることをエイジングといい、最近はアンチエイジング(抗加齢)ということが流行している中で、私はあえてエイジングを恐れず、高級ワインのように長年の熟成にも耐える、年の取り方がしたい。若い女の人達に囲まれて「おばあちゃんの料理教室」を主宰するのがもっぱらの夢なのである。
2006.10.5見眞掲載
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